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電子自治体の取り組み状況に関するヒアリング調査結果

(1)調査概要
    
・目的: 新潟県下の全市町村を対象とし93団体から回答を得た自治体アンケート調査を補足し、詳細な状況を把握する。
・対象: 自治体アンケート調査に回答があった団体から、電子自治体に対する積極度、自治体の人口規模などに偏りがないよう5団体を選定
・期間: 平成14年1月〜3月

(2)調査結果
 ヒアリング調査を行った複数の団体において、ブロードバンドを意識したハード、ソフトの実験や、電子自治体を意識した行政手続きの実験を行うなど、具体的な取り組みが行われている。しかし、いずれの取り組みも「自宅から住民が電子市役所へのアクセスを可能にする」あるいは「専用線、専用端末で行政手続きを可能にする」といった電子市役所の利用イメージやサービスの方向性は明確化されていない。電子市役所の目的を国の定める住民基本台帳ネットワークの導入に限るのか否か、あるいはそのメディアはインターネットのみに絞るのか否か、などについての議論が先送りされているのである。
 その理由としては、自治体アンケート調査によって明らかになったように予算の確保が困難であるという問題に加え、今回のヒアリング調査によってさらに二つの理由があるように思われる。まず一つには市町村合併についての自治体の方針が不透明であったり、合併することは決まっていても協議がまだ具体的には進んでおらず、新たな投資が二重投資になる可能性があり躊躇してしまうという時期的な問題である。二つめには、周辺や同規模の自治体の様子を伺いながら進まず遅れず取り組むという各自治体のにらみ合いが行われていることである。しかしこれらの理由から考えると、いずれ合併問題と同時に電子自治体についての姿勢が協議されることにより各自治体の横並びの進展が起こり、電子自治体のサービスの具体化は急速に加速していく時機が訪れるということも示している。
 このように現状では電子自治体については曖昧な態度を示している自治体であるが、電子市役所の目的やメディアの絞込みは地域に固有の住民のライフスタイルと直結するものである。電子窓口の範囲についても、電子申請など手続きに限定するという狭いものから相談業務なども含むものまで考えられるが、住民のニーズに応え自治体ごとに検討することが望ましい。施設予約のシステムを一例に挙げると、施設の種類や施設の数、運営主体の公私といった対象となる施設はもちろんのこと、利用者にカードを配布するか、周辺市町村の広域利用を可能とするか、既存の電話等による予約方法を残すべきか、などの運用方法を考えてみても、国が統一的なシステムを構築することはかなり困難なものと考えられる。しかし、自治体からは施設予約システムについても国の方針が出てから考えていくという姿勢が見受けられ、個別の課題を整理する段階に至っていないようである。
 情報化に関する意識やスキル、ネットワーク環境の異なる住民の誰もに同一のサービスを展開するべきか、費用負担はどうあるべきか、というような電子自治体の戦略的な考え方は自治体ごとに異なって然るべきなのである。各自治体において電子自治体の目的を検討するにあたっては、行政手続の電子化・高度化のみに留めず、住民のライフスタイルや住民と自治体との関わりを意識し、その特長をブロードバンド時代に受け継ぐことを見据えていくことが必要であると考えられる。




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