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地域と行政の情報化についてのアンケート調査結果

(1)調査概要
    
・目的: 住民の情報との接触状況、情報の利活用についての現状をふまえた上で、電子自治体の窓口サービスイメージを提示し、利用意向や費用負担についての考え方をたずねる
・実施日時: 平成14年3月24日(日)午前10時〜午後5時
・場所: 新潟市万代バスセンター付近および古町十字路NEXT21脇の2ヶ所
・対象: 10代後半以上の男女
・回収数 402票、有効サンプル数 372

(2)調査結果の概要
 新潟市の2ケ所の中心地で実施したことにより、回答者は比較的年代が10代後半と20代に片寄っていたものの60代以上からも回答を得られ、男女比もほぼ半数とバランスの取れたものとなった。また居住地も新潟市内に限らず、約4割が市外からの来街者であった。
 インターネットの利用については、回答者の約4分の1が毎日のように使っており、利用機器はパソコンがインターネット利用者の約7割、携帯電話は6割強を占め、両者を所有している人も4割以上を占めている。また、インターネットやパソコンに関してほぼ半数の人が「非常に便利である」と回答している。
 行政窓口に関しては、現状の評価としては『窓口開設の時間帯、曜日』と『手数料』の2項目は不満感があらわれている。新しい行政の手続きの方法としては、「手数料が倍になっても利用したい」でもっとも支持されたのは『自宅で申請してすぐに受け取れる』方法で1割程度、「手数料が100円程度の値上がりなら利用したい」では『ATMのような端末で申請し、すぐに交付される』がもっとも支持され(2割程度)ている。また、新しい方法について金額、時間、場所、対応者などの要素を一対比較したところ「手数料が値上がりしないこと」と「申請してすぐに交付されること」の2項目の重要度が高く挙げられている。新しい方法についての考え方については年代によって特徴があらわれており、年代が高くなるほど「申請してすぐに交付されること」の重要度が高く挙げられている。
 『電子政府』『電子自治体』という言葉を聞いたことがあるのは約4割程度と認知度は高いとは言えないが、約5割の人が「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」ことが期待されており、知っている人ほど「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」などの利用ニーズが高くなっている。
電子自治体に関わる住民ニーズ聞き取り調査の概要はこちらをご覧ください。

(3)各問の回答結果
@ 問1(フェイスシート)
属性
性別は男性50.5%、女性48.4%と男女がほぼ半数ずつであり、年代では20代がもっとも多く31.7%を占めている。
50〜60代以上では、女性の割合が高く6割を占めている。
職業では会社勤務・公務員が41.9%を占めもっとも多く、次いで学生が多く25.8%を占めている。
居住地では59.4%が新潟市内で、全体の90%以上が新潟県内の居住者である。
居住歴では20年以上が39.0%でもっとも多い。
外出の様子
外出の様子では週1回以上行く割合は『コンビニエンスストア』(63.4%)、『ホームセンター、大型スーパー』(47.0%)、『繁華街・商店街』(38.4%)の順に続いている。また、『公民館、集会所などの地域施設』には「出かけない」が54.3%、『役所・出張所等』には「年数回」が39.8%を占めている。
年代によって外出の様子に異なる傾向が見られるものもある。『地域施設』『役所・出張所等』では年代が上がるほど利用の頻度が高くなり、『コンビニエンスストア』『ホームセンター』は年代が若いほど利用が頻繁となる。特に『ホームセンター』は20代〜40代の約5割が「週に1回」と回答している。
行政情報の情報源
行政情報の情報源となるメディアは、「週1回以上」の割合で見るものとしては『広報紙』(18.8%)がもっとも多く、『ホームページ』や『CATVの番組』は6〜7割の人が「見たことがない」と回答している。
年代によって情報源となるメディアに特徴が表れている。『広報紙』と『冊子』は年代が高くなるにつれ見ている頻度が高くなる傾向にあり、『ホームページ』は逆に年代が若くなるほど利用が増えている。また『窓口』については、全体的に利用回数が多くないが、年代が上がるほど「年数回」の利用の割合が高くなっている。
A 問2(市役所の窓口の満足度と将来の方法について)
現状の市役所の窓口に対する満足度
現状の市役所の窓口については、『申請用紙の記入の容易さ』『申請・交付にかかる時間』『職員の対応』の3項目は「ふつう」が半数以上を占めている。『窓口開設の時間帯、曜日』と『手数料』の2項目は「不満」が4分の1を超え、「どちらかというと不満」と足しあわせると不満と感じている人の割合は5割程度を占めている。
年代別に現状の市役所の窓口についての満足度を見ると、『申請用紙の記入の容易さ』『申請・交付にかかる時間』『手数料』の3項目は年代が上がるほど「満足」が高くなっている。「不満」の割合が目立って高いのは30〜40代であり、『窓口開設の時間帯、曜日』と『手数料』については、約6割が「不満」と回答している。
満足度をたずねた5項目をトータルして<満足層><やや満足層><やや不満層><不満層>の4つの層に分けたところ、<満足層>では50〜60代以上が約3分の1を占め、<やや満足層>では〜19歳が約半数を占めている。また、<やや不満層>では20代が4割強を占め、<不満層>では30〜40代が最も高く約4分の1を占めている。このことから、現状の市役所の窓口について不満が強く表れているのは20代および30〜40代の世代であることがわかる。
役所の手続きの<新しい方法>と費用負担に対する考え方
役所の手続きについて将来の<新しい方法>として5つ提示したところ、どの方法でも「手数料が今のままなら利用したい」がそれぞれもっとも多く、3割以上を占めている。「手数料が倍になっても利用したい」でもっとも支持されたのは『自宅で申請してすぐに受け取れる』方法で8.6%、「手数料が100円程度の値上がりなら利用したい」では『ATMのような端末で申請しすぐに交付される』がもっとも支持され(21.8%)ている。
<新しい手続きの方法>
 @銀行のATMのように全国どこからでも機械で申請でき、その場で手に入れられる
 A銀行のATMのように全国どこからでも機械で申請でき、3日以内に自宅に届けられる
 B自宅のパソコンからいつでも申請でき、専用プリンターを設置すれば自宅ですぐに印刷できる
 C自宅のパソコンからいつでも申請でき、3日以内に自宅に届けられる
 D個人の情報が登録されたカード等で手続きが出来るようになり、書面での申請が不要になる

図−1 新しい手続き方法と費用負担との関係
<新しい方法>についての支持についてのクロス集計では、年代別にみると『ATMのような端末で申請しすぐに交付される』『ATMのような端末で申請し3日以内に交付される』の2つは年代が高くなるほど「手数料が倍になっても利用したい」「手数料が100円程度の値上がりなら利用したい」ともに割合が高くなる傾向が見られる。また、『自宅のパソコンから申請でき専用プリンターですぐに交付される』は30〜40代の支持が強く、「手数料が倍になっても利用したい」(12.3%)、「手数料が100円程度の値上がりなら利用したい」(23.6%)となっている。また、現状の窓口についての4つの満足層別にみると、『ATMのような端末で申請しすぐに交付される』については<不満層>で「手数料が倍になっても利用したい」が12.3%と高い割合になっている。一方、『自宅で申請し3日以内に交付される』『カード導入で書面での手続きが不要になる』については<満足層>の支持が強く、「手数料が倍になっても利用したい」が両方とも1割を超えている。
<新しい方法>の導入される際の議論
<新しい方法>が導入される際についての議論として、『新しい方法を広げ今までの方法は減らしていくべき』では賛成(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)が約4割、中立(「どちらとも言えない」)が約5割と意見が分かれているが、『手数料の値上げは仕方ない』では反対(「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」の合計)が約5割を占め、『技術は利用者が習得するべき』では賛成が約4割を占めている。
<新しい方法>が導入される際についての議論を年代別に見ると、『新しい方法を広げ今までの方法は減らしていくべき』と『技術は利用者が習得するべき』については、年代が高くなるほど賛成(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)の割合が高くなる傾向にある。『手数料の値上げは仕方ない』については50〜60代以上では賛成が約4分の1を占め他の年代より高いが、30〜40代では反対が5割を超えている。
手続きに関する5項目の一対比較
手続きに関する5つの項目を2つずつ比べて重要度をたずねたところ、『手数料が値上がりしないこと』は他の4項目にくらべいずれも重要度(「重要」と「やや重要」の合計)が高く、次いで『申請してすぐに交付されること』が挙げられている。3番目は『24時間いつでも申請できること』と『自宅から申請、交付ができること』がほぼ同じであり、もっとも重要度が低い項目は『職員が直接対応すること』であった。
5項目についての一対比較の結果によると、重要視する項目は年代によって異なっている。〜19歳、20代においては『手数料が値上がりしないこと』が最も重要度が高いが、30〜40代、50〜60代以上になると『申請してすぐに交付されること』が最も重要度が高くなり、『手数料が値上がりしないこと』が次いで高く挙げられている。また、50〜60代では他の年代では最も重要度が低い『職員が直接対応すること』が3位に挙げられている。
『電子政府』『電子自治体』の認知、期待
『電子政府』『電子自治体』の認知については「はじめて聞いた」が61.6%を占めている。
『電子政府』『電子自治体』の認知は男女差が大きく、男性では「聞いたことがある」が39.4%を占めるが、女性では21.7%である。また、年代別にみると年代が高くなるほど認知度が高くなる傾向が見られる。
『電子政府』『電子自治体』に期待することとしては、「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」が47.6%を占めもっとも多く、次いで「コストダウンにつながる」が37.1%を占めている。
『電子政府』『電子自治体』に期待することについてのクロス集計では、若い世代ほど「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」の期待が高く、20代と30〜40代で5割を超えている。また、認知度別にみると、知っている人ほど「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」の期待が高く、3分の2を上回っている。
『電子政府』『電子自治体』の言葉の印象としては、「早い」(50.5%)、「冷たい」(37.1%)、「硬い」(22.8%)の3つが上位に挙げられている。自由記入では38件のうち「不安」「危ない」などのセキュリティーに関する危惧をイメージするような言葉が4分の1程度挙げられている。
『電子政府』『電子自治体』の言葉の印象についてのクロス集計では、年代別にみると年代が上がるほど「冷たい」の割合が高くなり、逆に年代が低くなるほど「硬い」の割合が高くなっている。満足度別でみると<満足層>の「面白い」が約2割を占め、他の層に比べ目だって高い割合となっている。また、認知度別でみると知っている人ほど「早い」「明るい」「近い」の割合が高く、知らない人ほど「冷たい」「暗い」「遠い」「硬い」という印象が強いことから、『電子政府』『電子自治体』を知っているか否かでイメージが異なっていることがわかる。
B 問3(インターネットやパソコン等の利用について)
インターネットの利用頻度、利用方法
インターネットの利用頻度は「毎日のように使っている」が24.2%、「ときどき使っている」が32.8%を占めている。「まったく使ったことがない」も23.9%を占める。男性の方が利用の割合が高い傾向にある。
インターネットの利用頻度を年代別に見ると、20代と30〜40代の利用頻度が高く、それぞれ3割以上が「毎日のように使っている」と回答している。50〜60代以上では「毎日のように使っている」人も約2割いるが、「使ったことがない」は5割を超え、未経験者も半数を超えている。また、認知度別にみると、「内容まで知っている」と回答した人のうち「毎日のように使っている」割合が約6割を占め、インターネットの利用頻度と認知度が強く関わっていることがうかがえる。
ホームページの利用方法としては、「興味のあることを調べる」が79.6%を占めもっとも多く、次いで「専門的な知識を検索する(32.3%)」「最新のニュース等を知る(31.5%)」が3割を超えている。
ホームページの利用方法を年代別にみると、「興味のあることを調べる」がどの年代でも最も高いが、50〜60代ではその割合がやや低く約6割となっている。〜19歳では他の年代に比べ「身近な人のHP閲覧」「オンラインショッピング」の割合が高くなっており、20代では「最新のニュースなどを知る」、30〜40代では「専門的な知識を検索」、50〜60代以上では「ネットバンキング・オンライン手続き」の割合がそれぞれ高く、年代によって利用の仕方に特徴が表れている。
インターネット、パソコンの利用についての感想
インターネット、パソコンの利用についての感想は「非常に便利」が51.9%、「あれば便利」が34.4%を占める。男性の方が「非常に便利」が56.4%を占め、女性(47.8%)より9ポイント高くなっている。
インターネット、パソコンの利用についての感想は、年代により大きく異なることはないが、インターネットの利用頻度別にみると、利用頻度が高いほど便利さを実感している様子がうかがえる。
インターネットの利用環境、利用機器
家庭にインターネット接続可能なパソコンは57.5%が所有しており、所有者の49.5%がダイヤルアップで接続している。これを年代別にみると、〜19歳と30〜40代の所有率が高く、それぞれ6割を超えている。
インターネットを自由に使える機器の所有については69.4%が持っており、男性では76.6%と女性(62.2%)を約14ポイント上回っている。機器については、パソコン(72.1%)、携帯電話(65.1%)の2つが圧倒的に多数である。男性ではパソコンの方が高い割合であるが、女性では携帯電話の所有が7割を超え順位が逆転している。また、パソコンと携帯電話の両者を持っている人は機器を所有している人の44.2%を占めており、インターネット機器の多様化が進んでいることがわかる。
インターネットを自由に使える機器の所有を年代別にみると、50〜60代以上をのぞくとどの年代も7割が何らかの機器を所有している。また、パソコンの所有率は年代が高くなるほど上がる傾向にある。20代はパソコンと携帯の両者を所有している割合がもっとも高く、5割を超えている。

(4)調査のまとめ
 インターネットの利用については「ほぼ毎日使っている」と「ときどき使っている」を合わせると5割を超え、インターネットが生活に浸透している様子がうかがえる。またインターネットやパソコンの利用についても「非常に便利」と「あれば便利」との回答を合わせると8割以上を占め、概ね意欲的、好意的な見方がなされていると言える。
 一方で広報媒体として役所のホームページは約3分の2の人が見たことがなく、『電子政府』『電子自治体』に関しては認知度が4割程度にとどまっていることから、住民の享受している<IT社会>の登場人物として、役所はどちらかといえば影の薄い存在であり、その役回りも十分な理解が得られていない様子がうかがえる。
 しかし、ネットワーク技術を用いた新しい方法の行政手続きを5つ提示したところ、どの方法でも費用負担が「現状のまま」と「100円程度の値上がりなら」を合わせるとなら約5割の人が「利用したい」と答えている。また、『電子政府』『電子自治体』に期待することとして、約5割の人が「証明書の申請や税の申告が自宅のパソコンからできる」を挙げていることから考えても、行政手続きについても、銀行やホテルの予約などの民間と同じような、効率的な<新しい方法>を住民側は望んでいるものと考えられる。
年代別等のクロス集計を通してみると、30〜40代を中心に現状の窓口サービスに対する不満が強く、この年代は新しい方法についても「申請してすぐに交付されること」を最も重要視している。また、少数ながら「手数料が倍になっても利用したい」サービスとして最も支持されたのは「自宅から申請しすぐに交付される方法」であり、多少の費用負担はしても利便性を追求したいというようなサービスへのニーズも潜在しているものと考えられる。
今後、各自治体において電子自治体に関する検討は進められるところであるが、「いつでも、どこでも」「自宅に居ながら」という理想を実現する先進的な電子的なサービスシステムを見据えつつ、まずは多くの住民の求める現状の不満を解決するサービスシステムを具体化していく必要があると考えられる。


アンケートクロス集計結果(PDFファイル)


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