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新潟県市町村における情報バリアフリー化に関する調査報告書
調査概要

1.はじめに

      政府では、高齢者・障害者とそうでない人々との間に、情報通信の利用面での格差(デジタルディバイド)が発生し、それが結果的に社会的・経済的格差につながるおそれがあることから、高齢者・障害者を含めた誰もが情報通信の利便を享受できる「情報バリアフリー」環境を整備するため、高度情報通信社会に向けた基本的な考え方を示した(※1)。また、具体的な提案として、総務省 郵政事業庁(旧郵政省)が高齢者・障害者による情報通信の利用に対する人的支援及びウェブアクセシビリティの確保に向けた課題と方策を示した(※2)。なお、「ウェブアクセシビリティ」とは、高齢者や障害者など、心身の機能に制約のある人でもウェブで提供されている情報に問題なくアクセスし利用できることを意味する。
 本調査では、新潟県内のデジタルディバイド解消に向けた取り組みの一環として、高齢者・障害者による情報通信の利用に対する人的支援に当たって必要となる各地域における拠点、すなわち市町村の施設などについて、情報バリアフリー化に関するアンケート調査を行った。また、最近、県内の公共団体など公的機関のホームページが開設され始めているが、最も住民に密接な市町村公式ホームページにおいて、充分なウェブアクセシビリティが確保されているか評価する調査も行った。

 ※1)政府「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」(平成10年11月9日)高度情報通信社会推進本部決定
     http://www.kantei.go.jp/jp/it/981110kihon.html
 ※2)総務省 郵政事業庁(旧郵政省)(2000年 5月23日)「高齢者・障害者による情報通信の利用に対する人的
    支援及びウェブアクセシビリティの確保に向けた課題と方策」
     http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/pressrelease/japanese/tsusin/000523j501.html

2.調査の概要と方法
2.1
(1)


(2)
(3)
(4)



(5)
新潟県内市町村施設の情報バリアフリー化に関するアンケート調査
目的 : 高齢者・障害者による情報通信の利用に対する人的支援の拠点となる市町村の施設における情報
      バリアフリー化の現状を明らかにすると共に、各関連機関にこの問題に対する認識を深めてもらうこ
      とを目的とする。
調査期間 : 平成14年1月29日〜2月22日
調査対象 : 新潟県内市町村(111市町村)
調査内容及び方法 : 市町村施設の情報バリアフリー化対策に関する項目について、アンケート形式の調査
      票を作成し、これを各市町村の情報化推進担当者に郵送し、回収した。なお、調査票作成において、
      総務省資料(※2)を参考にした。また、調査票の具体的な質問内容等は3.「調査結果」に再掲載して
      あるので、参照していただきたい。
回答数及び回答率 : 96市町村、86%

2.2
(1)

(2)
(3)
(4)
(5)

(6)
新潟県内市町村公式ホームページのウェブアクセシビリティの調査
目的 : 新潟県内市町村公的ホームページのウェブアクセシビリティの現状を明らかにすると共に、各関連機関
      にこの問題に対する認識を深めてもらうことを目的とする。
調査期間 : 平成13年12月19日(水) 15:00〜19:00
調査場所 : 新潟工業短期大学 情報科学演習室
調査対象 : 新潟県内市町村の公式ホームページ(104サイト)
調査方法 : ウェブアクセシビリティ改善支援システム「J-WAS」のウェブページ点検・修正機能 (※3)を使用し
         点検した。
調査詳細 : 点検は次の手順で行った。
(a) 県庁HP(http://www.pref.niigata.jp/)のサイトリンクならびに検索エンジンにより市町村公式ホームページ
   のURLを得た。
(b) 各ホームページのトップページURLのみJ-WASに入力し、「B」レベルで点検した。なお、フレームが使用さ
   れている場合には、トップページで表示されるhtmlファイルすべてを点検対象とした。
(c) 点検結果は「Web点検シート」(表2.1)記入した。なお、J-WASが問題点候補を見つけたが、自動点検でき
   ず「?」マークを表示した個所については、調査員がJ-WASの情報並びにそのホームページの内容を目
   視した結果より判定した。なお、判定が困難なものは一旦不明としておき、後で複数の調査員により最終
   的判断を行った。

  表 2.1 点検シート
「Web点検シート」
 市町村No.:
 市町村名:
 点検日:平成  年  月  日
 点検システム:ウェブアクセシビリティ点検・修正システム「J-WAS」(総務省)
 点検者名:

No. 点検項目(Bレベル) 問題点個数
自動点検 ?部手動点検 合計
× × 不明 ×
B-1 画像の代わりとなるテキストが用意されていません。                   
B-2 ボタンとして使用されている画像に、画像の代わりと
してボタンの機能を示すテキストが用意されていませ
ん。
                 
B-3 アプレット(プログラム)の代わりとなるテキストが用
意されていません。
                 
B-4 オブジェクト(プログラムや画像)の代わりとなるテキ
ストが用意されていません。
                 
B-5 音声の代わりとなるテキストが用意されていません。                  
B-6 動画や音声の代わりとなるテキストが用意されてい
ません。
                 
B-7 各フレームの内容やフレーム間の関連が正しく説明
されていません。
                 
B-8 イメージマップで示されるリンクに、リンク先を示すテ
キストが用意されていません。
                 
B-9 スクリプト(プログラム)の代わりとなるテキストが用
意されていません。
                 
B-10 ASCIIアート(文字や記号を用いた絵)に代わるテキ
ストが用意されていません。
                 
B-11 意味の違いが色の違いだけで区別されています。                  
B-12 この表はデータ用の表ですか? レイアウト用の表で
すか?テーブルを、ページレイアウトなど本来の目的
以外のために使用されています。
                 
B-13 表に見出しが用意されていません。                  
B-14 スタイルシートが適用されない状態では、内容が伝
わる構造になっていません。
                 
B-15 スクリプトやアプレット、その他のプログラムの内容に
代わるテキストや、内容の代わりとなるテキストを記
述したファイルへのリンクが用意されていません。
                 
B-16 画面の明滅する機能が使用されています。                  
B-17 各フレームにタイトルが用意されていません。                

※3) 総務省では、平成13年度から、ウェブアクセシビリティ改善支援システム「J-WAS」を使って、国内のウェブ
   アクセシビリティを改善する実証実験(※4)を行っている。「J-WAS」は、WAIのWCAG1.0およびAERTワーキ
   ング・ドラフト(※5)をもとにウェブページの点検を行うが、WCAG1.0は英語表記を想定した指針であるため、
   日本語には適さない部分がある。J-WASではそれらの点を見直し、日本語に適した基準で点検・修正を行
   う。また、ウェブアクセシビリティ改善の第一歩として、WCAG1.0の「A」レベルよりもさらに基本的なポイント
   だけを点検・修正する「B」レベルが用意されている。
※4) 総務省ウェブアクセシビリティ実証実験ホームページ「みんなのウェブ」http://www.jwas.gr.jp/
※5) アメリカでWebに関する標準を定めている団体であるThe World Wide Web Consortium(W3C)の中で、アク
   セシビリティーについての標準を検討している部署Web Accessibility Initiative(WAI)が勧告した「Web Content
    Accessibility Guidelines 1.0」 http://www.w3.org/WAI/ およびTechniques For Accessibility Evaluation And
    Repair Tools(AERT) http://www.w3.org/TR/AERT

2.3 調査員(敬称略、五十音順):
新潟県IT&ITS推進協議会 地域情報化委員会委員 多田憲孝(新潟工業短期大学 助教授)
同 南雲秀雄(新潟青陵大学 助教授)
その他、アンケート調査時:学生アルバイト 2名、Web調査時:学生アルバイト6名の協力を得た。



調査概要 → バリアフリー調査結果 → ウェブアクセシビリティ調査結果 → 考察



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