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3.3 考  察


 市町村施設の情報バリアフリー化の調査では、ほとんどの市町村において、高齢者や障害者など、心身の機能に制約がある人が情報機器にアクセスするための対策が進んでいない実態が伺える。しかし、一部、「住民が使用可能なパソコンのうち、少なくとも1台は車椅子の方でも使用できますか?」という質問に対しては、35.4%の市町村がすでに何らかの対策を講じていると答えている。このことから、各市町村では、実現しやすいことから対策を講じつつあるものと推測される。
 その一方で、長岡市のように、次の対策をすでに講じ、情報バリアフリー化に積極的に取り組んでいる所もあった。


●職員が車椅子を使用している場合でもパソコンやFAXなどの情報機器にアクセスできる環境を整
  えている。
●障害者または高齢者の職員が情報機器を容易に利用できるようにするための研修制度を設けて
  いる。
●住民が使用できるパソコンに、バリアフリー情報端末(車イス仕様、タッチパネル可)1台、バリアフ
  リー情報端末(視覚障害者用ソフト導入済み)1台がある。
●住民が使用可能なパソコンのうち、1台は完全な車イス仕様であり、他10台もOAデスクに設置して
  あり車椅子で使用可能となっている。
●住民が使用可能なパソコンのうち、社会福祉センター設置分1台には、視覚障害者のための音声
  読み上げソフト「ホームページリーダー」を導入してあり、利用者の希望によりその都度使い方の講
  習を実施している。
●住民が使用可能なパソコンには、上肢不自由のある方のための入力サポート機器として、小型ひ
  らがなキーボード、マウス代替装置、呼気スイッチ等を用意してあるものがあり、利用者の希望に
  よりその都度使い方の講習を実施している。
●公式のホームページは、更新していくなかで、音声読み上げソフトに対応できるようにしていく予定。


 また、自由記述形式で回答を得た、「貴機関のホームページによる情報提供において、高齢者・障害者の閲覧者に対してどのような配慮や対策をしていますか?」という質問に対して、「今後の課題としたい」という回答が多数あったことからも、各市町村の情報政策部局おいて、情報バリアフリー化の重要性が認識されていることが推測される。
 市町村公式ホームページの調査では、市町村のホームページ開設率は94%に達し、ほとんどの市町村がホームページによる情報提供をしていることがわかった。しかし、J-WASの「B」レベルのウェブアクセシビリティをもつホームページは残念ながら1つもなく、1市町村平均21箇所の問題点が見つかった。これらは、ウェブアクセシビリティへの配慮を欠いて、画像や表、複雑なレイアウト等を多用した場合にみられた。なお、ウェブアクセシビリティは画像等を排除するのではなく、マルチメディア表現を活用しつつ、心身の条件に関係なくホームページの情報をより良く得られるようにすることである。
 平均以上に問題点が多いホームページでは、健常者にとってはむしろ解りやすく工夫したものも多かった。今後、すべての住民に配慮したユニバーサルデザインの考え方を導入し、ウェブアクセシビリティの高いホームページの提供を期待したい。


4  おわりに

 情報を提供する自治体側は、情報を必要とする全ての住民に心身の条件に関係なく同質の情報を提供すべきである。本調査は新潟県内の情報バリアフリー化がまだ充分でないことを明らかにした。しかし、同時にこれから情報バリアフリー化に取り組む市町村の意志も表面化させた。調査目的の一つである「この問題に対する認識を深めてもらうこと」については、一定の効果があったと評価できよう。
 今後も、情報バリアフリー化に関する調査や研究ならびに啓発活動が継続され、新潟県が情報バリアフリー化先進県となることを期待する。




調査概要 → バリアフリー調査結果 → ウェブアクセシビリティ調査結果 → 考察




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