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6. おわりに

 本協議会が平成13年度から行っている市町村ウェブサイトのアクセシビリティに関する調査は、今回で4回目になり、この一連の調査も今回が最後となる。この間、本協議会主催のウェブアクセシビリティに関するセミナーやフォーラムが4回行われ12),13),14),15)、大勢の市町村ウェブ担当者が参加した。また、平成16年6月にはウェブコンテンツに関する日本工業規格JIS2)が制定され、市町村ウェブサイトに対するアクセシビリティ確保の要請が増して来ている。
 本調査では、まずウェブ点検ツールによる県内市町村ウェブサイトのアクセシビリティを調べ、さらに県内市町村のウェブ担当者に対するアンケートを行った。その結果、次のことが明らかになった。
●調査の始まった平成13年度からウェブサイトの開設率は年々増加し、平成16年度に100%に達した
●メディアファイル使用の割合が減少しており、本来伝えるべき情報を多く含む文字情報の割合が増している
●約8割の県内市町村ウェブサイトでは、少々の修正を行うことにより、ウェブヘルパーが定めたウェブアクセシビリティのレベル「A」を確保できる
●レベル「A」を満たした市町村の割合はまだ低いが、徐々に改善に向かっている
●ほとんどの市町村で、職員がウェブサイトの更新を行っている
●約半数の市町村で、ウェブサイト担当者がウェブアクセシビリティについて理解している
●各市町村のウェブサイト担当者は、ウェブアクセシビリティ確保には、多くの予算と人手、時間、専門的知識が必要であると考えている
●多くの市町村で、まだウェブアクセシビリティに関する指針や基準などの整備が検討されていない
●半数以上の市町村のウェブサイト担当者がウェブコンテンツに関する日本工業規格JISについて認知していない
●中越大震災の際には、多くの市町村がウェブサイトを災害関連情報の発信等に活用した
●住民相互によるコミュニティサイト化、電子申請・電子予約・電子会議化等の新しい試みを検討している市町村が少なくない

 以上の結果より、新潟県内市町村のウェブアクセシビリティは徐々に向上し、ウェブコンテンツにも様々な工夫がなされるようになってはいるが、まだ改善の余地があるように見受けられる。次に示す要点に配慮していただけることを期待する。
●「画像の代わりとなるテキストが用意されていません」、「画面の明滅する機能が使用されています」、「スクリプトの代わりとなるテキストが用意されていません」、「各フレームにタイトルが用意されていません」の4つの問題点項目をクリアすることを目標にする。殊に、画像の代替テキストについては、適切なツールを使うことによって、比較的簡単に修正を行うことができる
●ウェブサイト更新作業とウェブアクセシビリティの重要性を職場内で認識し、担当者にウェブアクセシビリティに配慮した更新作業を行うのに必要な時間を与える
●ウェブコンテンツに関する日本工業規格JIS2)を一読する。殊に、附属書「(参考)ウェブコンテンツに関する例示」には、具体的なアクセシビリティ確保方法が分かりやすく説明されているので参考にする
●定期的にウェブアクセシビリティに関するセミナーに参加する
●市町村合併に伴いウェブサイトを移行する場合は、ウェブサイト設計において十分ウェブアクセシビリティの確保に配慮する
●ウェブコンテンツに関する日本工業規格JIS2)準拠するようにウェブアクセシビリティに関する指針や基準を策定する
●災害時のウェブサイトの運営方法を普段から検討し、緊急時対応できるための準備をしておく
●市町村でコンテンツマネジメントシステムを導入する際には、生成されるウェブページがアクセシビリティを確保したものになることを確認した上で導入する
●携帯電話向けコンテンツの制作を行い、携帯電話の特徴を生かした新しい情報発信の手法を開発する

 ウェブアクセシビリティの確保は、どのような心身の状態の人にも「私達はあなた達を無視してはいない」というメッセージの発信であり、伝えるべき情報を真摯に伝えようとする意志の表現である。今後も県のレベルでウェブアクセシビリティに関するセミナーが行われ、また、各市町村のウェブサイト担当者には、ウェブコンテンツに関する日本工業規格JIS2)に準拠したウェブサイトの作成・運用をしていただけることを期待する。


参考資料

1) 政府「e-Japan重点計画-2004」(平成16年6月15日 IT戦略本部)
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/ejapan2004/040615honbun.html
2) 日本規格協会「JISX8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(平成16年6月20日制定)
3) 政府「IT施策パッケージ-2005-世界最先端のIT国家の実現に向けて-」(平成17年2月24日 IT戦略本部決定)
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/050224/050224pac.html
4) 総務省「「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」の開催」(平成16年11月16日)
   http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041116_1.html
5) 総務省「高齢者、障害者等我利用しやすいホームページの普及に向けたウェブアクセシビリティ点検・修正システム『ウェブヘルパー』の公表」(平成15年5月19日)
   http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/030519_3.html
6) 新潟県庁サイトの「新潟県庁:新潟県の紹介:リンク集:県内市町村」
   http://www.pref.niigata.jp/content/kenshoukai/link_sichouson.html
7) 総務省情報通信政策局「高齢者、障害者等が利用しやすいホームページの普及に向けた支援システムの実証実験について」(2001年7月27日)
   http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/pressrelease/japanese/joho_tsusin/010727_2.html
8) 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)サイトの「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ:みんなのウェブ」
   http://www2.nict.go.jp/ts/barrierfree/accessibility/
9)  「World Wide Web Consortium」 http://www.w3.org/
10) 「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」 http://www.w3.org/TR/WCAG10/
11) 「Techniques For Accessibility Evaluation And Repair Tools」
   http://www.w3.org/WAI/ER/IG/ert/
12) 「新潟県IT&ITS推進協議会:ウェブアクセシビリティ改善講習会の結果報告」
   http://www.n-it-its.jp/it/it/katuyou/web-kou-k.html
13) 「新潟県IT&ITS推進協議会:ウェブアクセシビリティセミナー2004 講演録1」
   http://www.n-it-its.jp/it/h16/H16seminar/161013report1.html
14) 「新潟県IT&ITS推進協議会:ウェブアクセシビリティセミナー」
   http://www.n-it-its.jp/it/it/katuyou/web-semi-K.html
15) 「新潟県IT&ITS推進協議会:情報バリアフリーフォーラムinにいがた講演録(1)」
   http://www.n-it-its.jp/it/h15/H15seminar/report1.htm
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