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5.4  ウェブアクセシビリティの認知とその実践

5.4.1  ウェブアクセシビリティの認知度

 担当者がウェブアクセシビリティを認知しているか尋ねた結果を図5.15に示す。内容を理解し、ウェブアクセシビリティ対策も実践している市町村は15%である。また、内容は理解しているが、市町村ウェブアクセシビリティには反映されていないと回答した市町村が37%あり、約半数の市町村で担当者がウェブアクセシビリティについて理解されていることがわかる。その一方で、42%の市町村でウェブアクセシビリティについて、知らないかまたは詳しい内容を知っておらず、本件に関する更なる啓発活動が必要と思われる。


図5.15 ウェブアクセシビリティの認知

5.4.2  ウェブアクセシビリティに配慮した具体的対策

 上記ウェブアクセシビリティの認知度の設問に対して「内容もわかっており、担当している市町村ウェブサイトにおいても配慮している」と答えた回答者に、その配慮した内容について尋ねた。その回答は大きく、(1)点検項目のチェックと、(2)ツールの利用に分けられる。
(1)点検項目のチェック(10件)
●フレームは使用しないこと。ページの内容がわかるようにタイトルをつけること。背景色、文字色は識別しやすい色使いとすること。明滅表現、スクロール文字等の表現は使用しないこと。画像を使用する場合でも、文字情報を提供し文字情報のみでも情報が伝わるようにすること。画像のalt属性を指定し、情報が伝わるようにすること。リンクの文字は、その文字のみでリンク先の内容がわかるようにすること。希望「○」「×」「△」等の解釈に依存しないで、文字「良い」「悪い」「ふつう」などの言葉を併記すること。
キーボードだけでも、すべての操作ができるようにすること。
●画像へのALT属性設定、画像利用の制限、適切な見出しの設定、色づかいの配慮、機種依存文字使用の禁止、新たなブラウザウィンドウの使用禁止、など。
その他同等意見8件
(2)ツールの利用(2件)
●コンテンツ作成時に、アクセシビリティ(配色や文字等)をチェックする機能がシステムに付属されている。
●チェッカーツール・音声ブラウザ・グレースケールでの確認済。

 点検項目のチェックに関しては、回答により、点検する項目が異なっている。何を基に点検項目を決めるかとなると、基本的には平成16年6月に制定されたウェブコンテンツに関する日本工業規格JIS2)が拠所になるであろう。このJIS規格の附属書「(参考)ウェブコンテンツに関する例示」には、具体的なアクセシビリティ確保方法が分かりやすく説明されているので、是非参考にしていただきたい。また、できるだけ効率的な作業を行うために、チェッカーツールなどの使用を推奨したい。

5.4.3  ウェブアクセシビリティが市町村ウェブサイトに反映されない理由

 上記ウェブアクセシビリティの認知度の設問に対して「内容はわかっているが、市町村ウェブサイトには反映されていない」と答えた回答者に、反映されていない主な理由を尋ねた。その結果を以下に示す。
(1)人手及び作業時間の不足(7件)
●ウェブアクセシビリティを反映したウェブサイトを構築しなおす時間がない。
●時間がないため。
●担当者1名の中で、予算的な制限もあり、対応させることは今現在不可能なため。
●少しは反映させているが、完全な反映には大きな労力と時間が必要なため、反映させていない。
●代替テキストなどの手間が非常にかかる。
●人員不足、予算不足。
●人材不足。
(2)技術的知識の不足(6件)
●ウェブサイトの作成は各部署の担当者が行っており、まずは担当職員の意識向上と具体的な作成方法の習得機会が必要という段階であるため。
●内容は、わかっているが、反映の方法、どこをどのようにしたらいいかのノウハウと時間と手間がない。
●本町のウェブサイトは、役所内の担当部署ごとにページを更新することになっているが、ウェブアクセシビリティに関する職員研修を実施していないため。
●実施するノウハウが無いこと及び予算的裏づけが、現在の財政状況では難しい。
●ホームページの当初作成時に全くウェブアクセシビリティを考慮しなくて作成してしまったが、現在は更新の際にはウェブサイトに反映している。しかしながら、ホームページ専任ではないため、なかなか全てには反映できないのが現状である。
●画像への代替テキストをつけることや、文字色や景色の色などを考慮することには注意を払っているが、その他のアクセシビリティについての知識・技術に乏しいため、配慮に欠けているところがある。
(3)市町村合併に伴う移行(5件)
●開設当初では、ウェブアクセシビリティの重要性の認識が不足していた。これから導入を考えても市町村合併を間近に控えているので、現段階では反映していない。
●現在のサイトを大幅に変更する必要があるが、合併を目前に控えているため。
●合併にともなう暫定版として、ホームページビルダー7で策定(初心者が)しているもので、今後リニューアルを予定。ただし、次の合併を17.10.1に予定しているため不確定要素あり。
●合併を控えているので、合併後の課題としている。
●合併時に対応する予定。
(4)経費の不足(4件)
●ウェブサイトの改造費用の予算化が難しいことと、専門的知識のある職員がいないため。
●当初のホームページ作成後、ウェブアクセシビリティの考えを理解したが、内容変更にかかる費用の問題があり現在は特に反映していない。
●予算付けがないため未対応。
●予算がない。
(5)その他(6件)
●HPのリニューアルを検討しているため、現在のHPにはあまり反映されていない。
●システムに依存しているため。
●まだホームページのきちんとした方針等決まっておらず、ウェブアクセシビリティを反映できるほどのものになっていない。
●現在、未完成な部分もあり、そちらの充実を優先しているため。また、各課で更新作業を行っているので、すべての職員がウェブアクセシビリティに対応できるわけではない。
●反映させるべく現在リニューアル中。

 以上の意見より、各市町村のウェブサイト担当者は、ウェブアクセシビリティ確保には、多くの予算と人手、時間、専門的知識が必要であると考えていることがわかる。しかし、実際には、レベル「A」を満たすためにクリアしなければならない点検項目は5.2.1節で4項目程度であり、ウェブヘルパーなどのツールを使えば比較的容易に問題箇所の発見・解決できるものや、「ウェブアクセシビリティ改善講習会」などが有効である。今後も本件に関する講習会などの継続的な実施が必要であろう。
 市町村合併に伴いウェブサイトを移行するという回答も多い。すなわち、合併により、ウェブサイトを新規更新あるいは大幅更新をする市町村が多いことを意味する。これはウェブアクセシビリティを向上させる最も良い機会となろう。担当者にはウェブサイト設計において十分ウェブアクセシビリティの確保に配慮していただきたい。
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